記念室の展示記録(これまでの展示一覧)
尼崎ゆかりの抽象画家
白髪一雄記念室
白髪一雄記念室 第6回展示「追悼 白髪富士子 ~一雄と歩んだ一筋の道~」
(2015年10月10日~2016年03月21日)
このたび、今年1月に逝去した白髪富士子を悼み、若き日に美術家として活動した数年間と、その後に制作から退き、夫・一雄のアクション・ペインティングを支えて歩んだ富士子の軌跡を、一雄の作品とともにご紹介します。
白髪富士子(旧姓:植村)は、1928年に大阪市内で時計店を営む植村光三と成乃の次女として生まれました。三人姉妹のうち、末娘が幼小期に親戚の養子になったことから、長女と二人姉妹のように育ちました。富士子は正規の美術教育を受けていませんが、当時のアルバム写真などから、高等女学校時代には姉と共に絵画部に所属して絵を描くことに親しんでいたことがわかります。高等女学校を卒業後、京都に転居し母が営む編み物教室を手伝っていた頃に、能楽を好む母の影響で鼓を習っていた縁で、同じく能楽をたしなむ白髪家の親戚の仲立ちにより一雄と結婚。一雄は京都市立絵画専門学校の卒業を間近に控えた23歳、富士子は20歳になったばかりでした。
結婚の翌年、富士子は長男を出産し母となりますが、一雄が所属する新制作派協会の仲間と0(ゼロ)会を作り新たな表現を始めた52年頃から、自身も創作に目覚めて制作を始めました。55年には一雄に続いて具体美術協会の会員となり、以降は具体美術展や芦屋市展を発表の場として本格的に制作発表を行いました。
しかし、一雄が1958年に来日したフランスの美術評論家ミシェル・タピエに見いだされ、多数の作品をヨーロッパに送る契約を結ぶかたわら具体美術協会の活動が多忙になった頃に、富士子は自らの創作活動に終止符を打ち、61年以降は一雄のアクション・ペインティングの制作を補佐し、活動を支えました。白髪一雄が世界のアクション・ペインターとして成功したことを考えるとき、一雄の才能を信じて共に歩んだ富士子の存在を抜きにして語ることはできないでしょう。
本展では、一雄を陰で支えることに徹して自身のことを多くは語らなかった富士子の、凛として輝いた若き日の貴重な作品と、そのひたむきな姿を偲ぶ写真や資料をあわせて展覧いたします。
※本展の開催にあたり、ご遺族をはじめ、ファーガス・マカフリー・ニューヨーク、株式会社ログ キャビン他、関係者、研究者の皆様に多大なるご協力を賜りました。ここに深く感謝申し上げます。
白髪富士子(旧姓:植村)は、1928年に大阪市内で時計店を営む植村光三と成乃の次女として生まれました。三人姉妹のうち、末娘が幼小期に親戚の養子になったことから、長女と二人姉妹のように育ちました。富士子は正規の美術教育を受けていませんが、当時のアルバム写真などから、高等女学校時代には姉と共に絵画部に所属して絵を描くことに親しんでいたことがわかります。高等女学校を卒業後、京都に転居し母が営む編み物教室を手伝っていた頃に、能楽を好む母の影響で鼓を習っていた縁で、同じく能楽をたしなむ白髪家の親戚の仲立ちにより一雄と結婚。一雄は京都市立絵画専門学校の卒業を間近に控えた23歳、富士子は20歳になったばかりでした。
結婚の翌年、富士子は長男を出産し母となりますが、一雄が所属する新制作派協会の仲間と0(ゼロ)会を作り新たな表現を始めた52年頃から、自身も創作に目覚めて制作を始めました。55年には一雄に続いて具体美術協会の会員となり、以降は具体美術展や芦屋市展を発表の場として本格的に制作発表を行いました。
しかし、一雄が1958年に来日したフランスの美術評論家ミシェル・タピエに見いだされ、多数の作品をヨーロッパに送る契約を結ぶかたわら具体美術協会の活動が多忙になった頃に、富士子は自らの創作活動に終止符を打ち、61年以降は一雄のアクション・ペインティングの制作を補佐し、活動を支えました。白髪一雄が世界のアクション・ペインターとして成功したことを考えるとき、一雄の才能を信じて共に歩んだ富士子の存在を抜きにして語ることはできないでしょう。
本展では、一雄を陰で支えることに徹して自身のことを多くは語らなかった富士子の、凛として輝いた若き日の貴重な作品と、そのひたむきな姿を偲ぶ写真や資料をあわせて展覧いたします。
※本展の開催にあたり、ご遺族をはじめ、ファーガス・マカフリー・ニューヨーク、株式会社ログ キャビン他、関係者、研究者の皆様に多大なるご協力を賜りました。ここに深く感謝申し上げます。
《無題》 (1957年) |
《無題》 (1960年頃) |
※ここで紹介する作品の題名は、当記念室が便宜上付した題名です。 | |
富士子 制作風景 (1960年頃) |
【関連事業のご案内】
下記の催しに当記念館担当学芸員が出演します。
3月12日 (土) |
「尼崎が生んだ前衛画家・白髪一雄」 | 尼崎市中央地域振興センター | [ 外部リンク |
3月18日 (金) |
「芦屋と具体美術『白髪一雄の世界』」 | 芦屋市立公民館 | [ 外部リンク |
記念室の展示(これまでの展示一覧)
- 白髪一雄記念室 第23回展示「これぞ白髪一雄 躍動の痕跡」
- 開室10周年記念 白髪一雄記念室のあゆみ
- 白髪一雄記念室 第21回展示「寄贈・寄託作品選Ⅲ 白髪一雄の版画を中心に」
- 白髪一雄記念室 第20回展示「ワールドワイド白髪一雄」
- 白髪一雄記念室 第19回展示「SHIRAGA×ALMOSTBLACK Ⅱ」
- 白髪一雄記念室 第18回展示「SHIRAGA×ALMOSTBLACK」
- 白髪一雄記念室 第17回展示「白髪一雄と尼崎Ⅱ―画家ゆかりの地をめぐる―」
- 白髪一雄記念室 第16回展示「寄贈・寄託作品選 Ⅱ」
- 白髪一雄記念室 第15回展示「没後5年 白髪富士子 前衛美術家としての足跡」
- 白髪一雄記念室 第14回展示「絵の道 仏の道」
- 白髪一雄記念室 第13回展示「創造の心 教育の心」
- 白髪一雄記念室 第12回展示「中国への憧れ」
- 白髪一雄記念室 第11回展示「白髪一雄と尼崎 I -木市呉服店の資料とともに-」
- 白髪一雄記念室 第10回展示「寄贈・寄託作品選」
- 白髪一雄記念室 第9回展示「画学生時代から抽象画家へ」
- 白髪一雄記念室 第8回展示「白髪一雄 密教との出会い」
- 白髪一雄記念室 第7回展示「白髪一雄の愛したものたち」
- 白髪一雄記念室 第6回展示「追悼 白髪富士子 ~一雄と歩んだ一筋の道~」
- 白髪一雄記念室 第5回展示「白髪一雄と芦屋」
- 白髪一雄記念室 第4回展示 開設一周年記念「祝いの絵画」
- 白髪一雄記念室 第3回展示「白髪一雄と具体II(中期~後期)」
- 白髪一雄記念室 第2回展示「白髪一雄と具体I (初期~中期)」
- 白髪一雄記念室 第1回展示「初公開 甦った初期作品を中心に」