記念室の展示記録(これまでの展示一覧)
尼崎ゆかりの抽象画家
白髪一雄記念室
白髪一雄記念室 第1回展示「初公開 甦った初期作品を中心に」
(2013年11月01日~2014年03月23日)
《妖草II》1952年
初公開する初期の油彩画4点は、白髪の没後、自宅の倉庫に木枠を外して巻いた状態で見つかったものです。白髪の最初期の作品は現存するものが少なく貴重であるためご遺族から寄贈していただきましたが、傷みがひどく2年をかけて修復し、このたび美しく甦りました。
これらは白髪が洋画家として歩み始め、新制作派協会の展覧会に出品していた1950~52年頃の作品で、白髪が〈部屋シリーズ〉と名付けていたものです。《妖家具》《妖草II》《陰火》などにみられる題名と闇を思わせる暗い色調からは、当時の白髪の関心が、夜の室内とりわけ「暗い物置の中に妖気を帯びたような」空間であったことがわかります。そこに描かれているものは、月の光を浴びているかのようにほのかに白く浮かび上がり、暗闇の中でうごめいているようにも見えます。
これは白髪が愛読していた中国文学や、グリム童話やホフマンの小説などドイツ文学からの影響によるものですが、白髪はその頃よく見る夢をそのまま絵にしていたと語っています。
当時、白髪は意識下にある世界を表現するオートマティスムの手法を取り入れて小さなペン画を無数に描き、その中から選んだものを油絵として作品化していました。このオートマティスムの手法は、白髪が自らの「精神」をより直接的に表現する手段として、その後の身体を使ったアクション・ペインティングへと繋がっていくことになります。
これらは白髪が洋画家として歩み始め、新制作派協会の展覧会に出品していた1950~52年頃の作品で、白髪が〈部屋シリーズ〉と名付けていたものです。《妖家具》《妖草II》《陰火》などにみられる題名と闇を思わせる暗い色調からは、当時の白髪の関心が、夜の室内とりわけ「暗い物置の中に妖気を帯びたような」空間であったことがわかります。そこに描かれているものは、月の光を浴びているかのようにほのかに白く浮かび上がり、暗闇の中でうごめいているようにも見えます。
これは白髪が愛読していた中国文学や、グリム童話やホフマンの小説などドイツ文学からの影響によるものですが、白髪はその頃よく見る夢をそのまま絵にしていたと語っています。
当時、白髪は意識下にある世界を表現するオートマティスムの手法を取り入れて小さなペン画を無数に描き、その中から選んだものを油絵として作品化していました。このオートマティスムの手法は、白髪が自らの「精神」をより直接的に表現する手段として、その後の身体を使ったアクション・ペインティングへと繋がっていくことになります。
■展示作品リスト
作品名 | 制作年 | サイズ(cm) | 技法・材質 |
---|---|---|---|
尼崎与茂川つづみ | 1947 | 25.8×37.3 | 水彩・紙 |
尼崎西本町三丁目付近 | 1947 | 25.8×37.3 | 水彩・紙 |
尼崎工場界2 | 1948 | 30.5×43.5 | 水彩・紙 |
二階窓外の景 | 1948 | 35.0×26.8 | クレヨン・紙 |
鳥檻 | 1949 | 90.2×71.3 | 油彩・キャンバス |
夜の風物 | 1950 | 50.1×65.3 | 油彩・キャンバス |
陰火 | 1951 | 91.5×115.5 | 油彩・キャンバス |
無題 | 1951 | 131.0×145.5 | 油彩・キャンバス |
妖家具 | 1952 | 73.0×117.0 | 油彩・キャンバス |
妖草II | 1952 | 109.3×230.3 | 油彩・キャンバス |
記念室の展示(これまでの展示一覧)
- 白髪一雄記念室 第23回展示「これぞ白髪一雄 躍動の痕跡」
- 開室10周年記念 白髪一雄記念室のあゆみ
- 白髪一雄記念室 第21回展示「寄贈・寄託作品選Ⅲ 白髪一雄の版画を中心に」
- 白髪一雄記念室 第20回展示「ワールドワイド白髪一雄」
- 白髪一雄記念室 第19回展示「SHIRAGA×ALMOSTBLACK Ⅱ」
- 白髪一雄記念室 第18回展示「SHIRAGA×ALMOSTBLACK」
- 白髪一雄記念室 第17回展示「白髪一雄と尼崎Ⅱ―画家ゆかりの地をめぐる―」
- 白髪一雄記念室 第16回展示「寄贈・寄託作品選 Ⅱ」
- 白髪一雄記念室 第15回展示「没後5年 白髪富士子 前衛美術家としての足跡」
- 白髪一雄記念室 第14回展示「絵の道 仏の道」
- 白髪一雄記念室 第13回展示「創造の心 教育の心」
- 白髪一雄記念室 第12回展示「中国への憧れ」
- 白髪一雄記念室 第11回展示「白髪一雄と尼崎 I -木市呉服店の資料とともに-」
- 白髪一雄記念室 第10回展示「寄贈・寄託作品選」
- 白髪一雄記念室 第9回展示「画学生時代から抽象画家へ」
- 白髪一雄記念室 第8回展示「白髪一雄 密教との出会い」
- 白髪一雄記念室 第7回展示「白髪一雄の愛したものたち」
- 白髪一雄記念室 第6回展示「追悼 白髪富士子 ~一雄と歩んだ一筋の道~」
- 白髪一雄記念室 第5回展示「白髪一雄と芦屋」
- 白髪一雄記念室 第4回展示 開設一周年記念「祝いの絵画」
- 白髪一雄記念室 第3回展示「白髪一雄と具体II(中期~後期)」
- 白髪一雄記念室 第2回展示「白髪一雄と具体I (初期~中期)」
- 白髪一雄記念室 第1回展示「初公開 甦った初期作品を中心に」